1Fの展示室では,鉱物と鉱石を展示しています。ここに展示された標本は秋田鉱山専門学校設立以来のスタッフや学生、OBが収集したり、当時稼行していた国内の多くの鉱山から寄贈された標本が母体になっています。これに加えて,国内の博物館や大学、収集家の協力を得て展示の充実を図り,国内外の標本約500種2,200点以上の鉱物標本が展示されています。秋田県下の小坂鉱山,餌釣鉱山,荒川鉱山、尾去沢鉱山や阿仁鉱山からもたらされた鉱石や鉱石鉱物の大型の標本は,当博物館が我国のみならず世界に誇れる良品です。
鉱物は規則正しい原子の配列とほぼ一定の化学組成を持つ天然に産する固体物質で,地球表層部の岩石の構成成分です。これまでに,およそ四千五百種の鉱物が発見されています。展示室の最初のコーナーでは,鉱物の定義や諸性質を解説しているほか,宝石の展示もあります。
鉱業博物館では,ドイツのStrunzの鉱物分類体系に基づき,自然金や銅などの元素鉱物からはじまりその次に硫化鉱物が続き,最後は琥珀のような有機物で終わる配置をとっています。また,馴染みのある国内の地名や日本人の名前がついた日本産の新鉱物標本を集めたコーナーもあります。
鉱石には,私たち人間の営みに欠かせない有用元素が通常の岩石の数倍から数千倍濃集しています。鉱石の採掘が経済的に見合うほど多量に存在している場所を鉱床と呼びます。このコーナーでは,鉱床タイプで分類した主要な鉱石を展示しているほか,秋田を代表する鉱石として知られる黒鉱,太平洋の深海底から採取された現世の海底熱水関連の標本,石炭や原油などエネルギー資源も多数展示しています。
中央ホールは三階の天井まで吹き抜けになっています。2重の螺旋(らせん)階段がホールを取り巻くように配置されています。
中心には,国土基準点の一等重力点があります。ここの重力加速度の値は9.8017580m/s2 で、国土地理院による測定が定期的におこなわれています。重力値は、緯度や高度だけでなく地下構造や地殻変動などの影響もうけるので、鉱床探査に利用されたり地震・火山活動の予知にも役立てられます。
重力点を取り巻くように秋田鉱山専門学校の校章のモチーフになったダイヤモンドや秋田大学関係者の名前が付けられた鉱物などが展示されています。
左から秋田大学第二代学長渡辺萬次郎,第四代学長渡辺武男,秋田大学名誉教授加納博のプロフィールと 萬次郎鉱・渡辺鉱・加納輝石の展示
これで,1階の展示室を一周しました。中央の螺旋階段を上がって2階の展示室に行きましょう。